【前編】地域と調和する”まだ見たことのない景色”へ(学長候補・宮田裕章氏×建築家・藤本壮介氏)
2024年の開学をめざす飛騨高山大学(仮称)の学長候補である宮田裕章氏と、本校キャンパスを設計する建築家・藤本壮介氏による対談形式インタビューを行いました。前編では、飛騨高山大学(仮称)の本校キャンパスについて、設計イメージをご紹介します。
キャンパスの象徴となる「丘」からの風景
美しい山並みに囲まれた飛騨の街全体が、人々が集い語らう一つの大きな学びの広場です。同時に飛騨の山々は「その先」へと意識を開いてくれます。包まれているからこそ、集い、その先へと思いが開いていく。地域に根差しながら同時に世界へと繋がっていく。飛騨高山大学(仮称)のビジョンそのものが、すでにこの飛騨の街と地勢に現れています。キャンパス計画でも、そんな「包まれていること」「その先へと開いていること」を体感できるように、中央に開かれた「丘」を配置しました。
▽すり鉢状の「丘」のイメージ
この丘は、キャンパスの屋根にあたる部分です。大きな丘のような傾斜の向こうには、飛騨の美しい山並みが広がっています。この丘に登ってくつろいだり、景色を眺めたり、思い思いに過ごすことができます。
屋根が建物全体を包み込むように、中央に向かってすり鉢状に湾曲していることで、地域との一体感を連想させます。同時に、丘から外に目を向けると、「その先」の未来、世界との繋がりを予感させるような、開かれた風景が広がっています。この丘が、地域に根差し、世界と繋がるという大学のビジョンを体現しています。
どこでも議論でき、刺激を受けられるキャンパス
▽オープンスペースと中庭のイメージ
このキャンパスは、すべての廊下がオープンスペースとしての機能を持っている点も特徴の一つです。すべてが開かれているからこそ、キャンパスのどこにいてもディスカッションをしたり、刺激を受けたりすることができます。
さらに、廊下はオープンスペースであるとともに、図書館としても機能します。つまり、大学全体が図書館でもある、ということなのです。知的情報に多様にアクセスできる現代における、新しい図書館と言えるでしょう。また、中庭には木々が生い茂り、キャンパス内でも自然を感じることができます。
飛騨の地域に根差し、そして世界へ
▽キャンパスの俯瞰イメージ。中央の建物の屋根部分が丘になっている
上記イメージ図で丘の手前にある建物には、ゼミ室や研究室が配置される予定です。飛騨高山大学(仮称)では、2年次以降になると飛騨以外のキャンパスや地域での活動が増えるため、キャンパスは主に1年次の学生がそれぞれの世界を深めていく場所となります。新しい、ダイナミックな学びの場となることを目指します。加えて、ゼミ・研究棟と丘の建物をつなぐスペースにはカフェを併設し、学生や教員だけでなく、地域の方々が自由に交流し、その先の世界へと意識が繋がるようなキャンパスをつくりたいと思います。
後編では、学長候補・宮田裕章氏×建築家・藤本壮介氏の対談を掲載します。どのような背景から現在のキャンパスのイメージが生まれたのか。そのキャンパスによってどのような未来が見えてくるのか、お二人に話を伺いました。